製作工程

(1999年4月1日作成) 


       蒔絵箱「狐」製作工程

素地、桐材。木地師に依頼、

1.出来あがった木地の内側の隅に延べ漆を引く−乾かす

2.ガスバーナーで表面を軽く焦がす(余分な油分を燃やしたり、水分を抜く)

3.痩せて変形した木地を鉋で削って整える

4.木地固め:生漆を箆で扱いて染み込ます−乾かす

5.木くそ彫り:木地のつなぎ目を彫刻刀で彫る

6.木くそ:麻布の細かい屑を糊漆に混ぜたものを彫った溝に埋める−乾かす

7.目すり:錆漆を箆でしごき木目を埋める−乾かす

8.空砥ぎ:粗い目の砥石で研ぐ

9.布着せ:麻布を全体に糊漆で張る−乾かす

10.布揃え:小刀で表面を削って整える

11.布目すり:錆漆を箆で扱く−乾かす−空砥ぎ

12.一辺地付け:漆、米糊、地の粉(輪島産の珪藻土を焼いた粉)を混ぜたパテ状のものを箆で2面ずつ塗っては、乾かすを数回繰り返す

13.空砥ぎ

14.二辺地付け:漆,との粉、二辺地粉を混ぜたものを12,の工程を繰り返す

15.空砥ぎ

16.三辺地付け:漆,との粉、三辺地粉を混ぜたものを12、の工程を繰り返す

15.空砥ぎ

16.錆付け−乾かす

17.地砥ぎ:砥石で水砥ぎ

18.地固め:木漆を箆で扱き染みここませる−乾かす

19.電気炉にて48時間熱処理する(80度迄ゆっくりと温度を上げる)

17.錆砥ぎ:砥石で水砥ぎ

18.錆付け−乾かす

19.地砥ぎ

20.中塗り:蝋色漆を刷毛で塗る−乾かす

21.中塗り砥ぎ:青砥石で水砥ぎ

22.小中塗り:蝋色漆を刷毛で塗る−乾かす

23.小中塗り砥ぎ:駿河炭で水砥ぎ生漆を刷り込む

24.上塗:上,左右面を白漆,その他の面を黒漆で塗る−乾かす

これで塗り上がりです。ここまでで一年六ヶ月かかっています。

つぎに、いよいよ待望の図案に取り掛かります。

一番難しく楽しい時間で、数十枚書いても納得のいくものはなかなか出来ません。

蒔絵工程

1.蒔絵をする面を駿河炭で砥ぐ

2.美濃紙で型紙を作り図案をペン等で描きその上を漆でなぞる

3.置目:2の紙を器物の上に置きその上から刷毛でこすり漆の線を転写する−白粉や弁柄粉を蒔き付け下絵を表す

4.狐の目の形に金の板金をくりぬき、漆で張る

石川県立輪島漆芸技術研修所卒業

5.置目にそって輪郭線を黒漆で描き黒乾漆紛を蒔く−乾かす−その上を黒漆でなぞる−乾かす

6.狐の体に金紛を紛筒でぼかしながら蒔く−乾かす

7.色漆で金紛の上を塗り込む−乾かす−数回繰り返す

8.周りの渦模様を白漆で描き,平目紛を紛筒で蒔く−乾かす−白漆で塗りこみ紛を固める−乾かす

9.駿河炭で研ぐ

10.上,左右の白い面を白漆で上塗する−乾かす

11.薄の形に白蝶貝をくりぬき,割りながら漆で張る−乾かす

12.その他の薄を漆で描き銀紛を蒔く−乾かす

13.貝と銀の上を黒漆でなぞる−乾かす

14.前,後の黒い面を黒漆で上塗する−乾かす

15.模様の上に塗った白と黒の漆を駿河炭で砥ぎ模様を砥ぎ出す

16.油との粉を綿につけてこすり、炭で砥いだ傷を、消す

17.生漆を薄く擦り付ける−乾かす

18.チタニュウム紛と菜種油を手に少量つけ、こすり,磨き上げる

19.17,18を数回繰り返す

20.箱の内側に絹の布を張り完成

蒔絵の期間は、一ヶ月くらいです。

 

以上簡単に御紹改しましたがあらためて漆芸の、工程の多さをしみじみと感じまし。


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