1999,12,28  梟君

 

17回日本伝統漆芸展に出品した作品に、以前から好んで用いていた木菟を描いてみました。

梟の仲間は、他の鳥類とは、一味違い、人間の顔の様で、表情がとても面白い。

描くたびに思い出すのが、あれは忘れもしない平成6年6月、

私は輪島と門前の市境の峠付近を自転車でぶらぶらと流していました。

前方の道路標識の上に何やら鳥の影、静かに近寄って見ると梟ではありませんか!

動物園以外で御目にかかるのは小学生以来だった。

高まる興奮を押さえつつ、少しずつ近寄って見るが逃げるそぶりも見せないので、

手の届きそうな距離から、例によってじっくりと観察していると、

これがなかなか魅力的なのですよ。何か考え事をしている様でもあり、愛嬌があって綺麗で、

何も持っていなかったので、急いで家まで15キロ位の道を自転車を飛ばしました。

スケッチブックとカメラをリュックにつめ車でもとの場所へ戻るとまだあいつがいました。

前から横から後ろからと、近寄って写真を撮っているうち、家に連れて帰りたいという思いがむくむくと、

継ぎの瞬間背中のリュックを梟の頭からかぶせ車に持ちかえってしまいました。

車の中であばれるかとも思いましたが、まったく静かなものでした。

家に帰り、鳥篭を用意するが小さい、倉庫から昔のストーブの柵を探し出し檻にすることに。

じっくりと眺めて見る。まだ子供のようだ。

餌は、何をやればいいのか?肉?虫?近くのペットショップで聞いて見ると、

肉だろうと言うので買いに行き、スーパーの店員さんに、梟は何肉を食べるのか相談してみたら

何でもいいだろうけど鶏肉かね-ということでそれにしてみました。

食べさして見るとなかなか食べてくれず、むりやり食べさして見たがしばらくして吐き出していた。

まだ子供で親が噛み砕いたものしか食べれないのだろうか?

(後で、もっと幼い梟を飼っている様子で、肉やら何やらバクバク食べているのをテレビで見た。)

そんなこんなで我が家に2泊ほどしたがまた、元のところに戻してやった。

(これも後で、親にはぐれた雛の梟は近くに親がいる事が多く、むやみに連れて行かない様にと、テレビで見た。)

木菟君には、えらい迷惑やったろうなー、その後元気に生きて行けただろうか?今でも心が痛みます。

自然にはなるべく人の手を加えずそのままにしておくのがいいのでしょうねー。


独り言目次へ戻る